2024/12/11

■ FSMS News 2024-3■━━━━━━━━━━━━━2024年12月11日■

 

 
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

    ◆     テーマ: 『食物アレルギー』       ◆

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


今回は食物アレルギーをテーマに、場合によっては死亡事故も発生してしまう
ということを改めて皆様に認識いただければ幸いです。
 
今から10年以上も前のことですが、2012年東京都調布市の小学校で、食物
アレルギーによる死亡事故が発生しました。教職員の方は保護者からの情報で、
この児童は乳製品のアレルギーを持っていることを認識しており、学校給食も
個別に調理するなど食物アレルギーの対応が行われていました。
ところが、この日の献立として「チーズ入りチジミ」が提供されていましたが、
「おかわり」ができる量が残っていたようで、その児童も他のお子さんと同様
「おかわりしたい!」と申し出たそうです。
ここで、担任の先生がこのチジミに乳製品が入っていることを認識していな
かったことで、急激な症状、アナフィラキシーショックが発生し、その後の冷
静な対応ができなかったことから、死亡に至ったとのことでした。
この児童はアナフィラキシーショックへの対応として、「エピペン?」を常に
携行しており、担任及び他の先生が「エピペン?」注射を躊躇し、悲しいこと
に亡くなってしまいました。
この事件を機に、小学校の教職員を中心に食物アレルギーのあるお子さんへ
の対応などの研修が行われ、再発防止への取組みが行われました。
 
ご自分のご家族だったら・・・悲しいですね。
 
この事例は小学校給食ですが、皆さんの製造した商品が「不正確な情報」で
アレルギー情報が間違っていたり、意図しないアレルゲンの混入が発生する
ことを前提に考えてみましょう!
 
<意図しないアレルゲン混入対策の基本>
1. 工場内のゾーニング
・アレルゲン専用エリアの設置: アレルゲンを含む原料を使用するエリアと、
 アレルゲンフリーのエリアを明確に分ける。
・物理的な仕切りやカラーコード: 色分けされた作業台、器具、衣服を用い
 てエリアの区別を徹底する。
 
2. 製造時の管理
・アレルゲンを含まない製品から先に製造: 混入リスクを低減するため、
 アレルゲンフリー製品を最初に製造し、その後アレルゲンを含む製品を製
 造する。
・切り替え時の徹底清掃: アレルゲンを含む製品を製造した後、次の製品に
 移る前に洗浄や清掃を実施する。
・粉体の計量時など、特に注意を要します。
 
3. 清掃・洗浄の強化
・手順書の整備: 洗浄方法を詳細に規定し、特にアレルゲン除去に効果的な
 方法(高温水や適切な洗剤の使用など)を記載する。
・どのような検証を行うのか、清掃が確実にできているか確認: たんぱく残
 留検査、ATP検査やアレルゲン専用のテストキットで清掃効果を確認。
 
4. 従業員教育
・定期的なトレーニング: アレルゲン管理の重要性と具体的な手順について
 定期的に教育。
 
 アレルゲン取り扱いの注意点:
  食品や器具を不用意に他のエリアに持ち込まないよう指導。
 
5. 器具・設備の分離
・専用器具の使用: アレルゲン含有製品専用の調理器具、容器、工具を用意。
・専用ラインの導入: 可能であれば、アレルゲン含有製品とそれ以外の製品
 で製造ラインを完全に分離。
 
6. 原材料管理
専用保管エリアの設定: アレルゲンを含む原材料は、他の材料と隔離して保
管。
 
意図しないアレルゲン混入の事故は、人の命を奪ってしまうかもしれません。
是非このタイミングで、アレルゲンの管理について確認や見直しをされては
いかがでしょうか。
 
この情報が、皆様の食品安全の情報源として、少しでもお役に立てれば幸いで
ございます。
次回をお楽しみに!