ホーム お知らせ ■FSMS News2023-2■実は奥が深い”手洗い”の世界 ■FSMS News2023-2■実は奥が深い”手洗い”の世界 2023/05/16 ■ FSMS News 2023-2■━━━━━━━━━━━━━2023年5月19日■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ テーマ: 『実は奥が深い”手洗い”の世界』 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ISO審査登録センター食品安全審査室メルマガ担当です。 2019年末に発生した新型コロナウイルス(COVID-19)による感染症は、 世界的な流行をみせました。WHOはこの5月で3年3カ月ぶりに出され ていました「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を解除し、 日本でも5月8日に指定感染症から5類へと感染症法の位置づけが変更 されました。長きにわたり、皆さまも大変ご苦労されたことと思います が、新型コロナウイルスが消えてしまったわけではないので、今後の 動向も気になるところですね。 さて、この新型コロナの影響ですが、思わぬところで副次的プラス効果 も出ています。コロナ禍において、インフルエンザが近年になく流行が なかったこと、またノロウイルによる感染症や食中毒件数も大幅に減った ことが国の統計でも明らかになっています。 その要因は何でしょうか?皆様の中にはお気づきの方も多いかと思います。 ズバリ、国民こぞって『手を洗うこと』に注力したことが大きな要因だと 考えられています。少々手の汚れを気にせず、(特に男性に多い傾向で すが)トイレを出た後は手を濡らす程度で、「手を洗った」と思ってい た人も多かったとの調査報告が出ています。時には命に係わる感染症 流行時に、国民全体が「しっかり手を洗わないと!」へと意識が変わった からでしょう。 今回のメルマガのテーマは今更ですが、「手洗い」です。 温故知新と言いますが、どうも「手洗い」への知識は昔から知られてい たものではなさそうです。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、 ウィーンの医師であるゼンメルワイス博士の研究の結果、産褥熱 (分娩後、細菌等の感染で発熱する)発生のメカニズムに「手洗い」が 大きく関与していることを経験の中から解明しました。細菌という概念 も不十分な時代に大きな発見があったとも言えますね。彼の理論が、 科学的な裏付けを持って理解されるのは、19世紀末のルイ・パスツール やロベルト・コッホ、そしてアレクサンドル・イェルサンの発見があって からのことでした。 手洗いの歴史を簡単に振り返ってみましたが、手洗いは食品衛生において も重要な取り組みです。改めてポイントをご確認ください。 【手洗いの目的】 ・「食品取扱い3(4)原則」の一つ「付けない」「持ち込まない(ノロウイ ルス)」は、従事者から手を介した汚染防止が目的になります。いつ手を 洗うのか、どの程度念入りに洗うのかなどをもう一度考えてみてみましょう。 ・「食品衛生は、手洗いに始まって、手洗いに終わる」と言われるよう に、食中毒の防止のためには、手洗いが「基本のキ、第一歩」です。 面倒とは思わずに、しっかりと取り組んでください。 【手洗いの種類】 3つの手洗い方法があることが知られています。 ・日常的手洗い:普通に日常生活の中で行う手洗い ・衛生的手洗い:目に見える汚れだけでなく、細菌や微生物を除去する ための手洗い ・手術時手洗い:手術を行うスタッフが、専用の方法と薬剤を使って 行う手洗い 食品を取り扱う際には、「衛生的手洗い」を行うことが必要になります。 【衛生的手洗い方法のポイント】 ・1度だけでなく、2度洗いするとより効果的(ノロ対策) ・汚れの残りやすい部分を意識して手を洗う (汚れの残りやすい部分:指の間、手のしわ、親指の付け根、爪と皮間、 手首など) ・石けんをよく泡立てることで、細菌やウイルスを物理的に落とすこと が可能 ・消毒用アルコールは、水気をよくふき取ってから使用 ※参考:公益社団法人日本食品衛生協会. "食中毒予防のための衛生的な 手洗いについて". 厚生労働省. 2015. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000090171.pdf (参照 2023-05-15) 皆さま、「手洗い」についていかがでしたか? 上記はあくまで参考情報にすぎません。製造品のリスクなどから、事故を 未然に防ぐための適切な行動をどのように作るかが重要になります。 この配信が、皆さまの食品安全の情報源として、少しでもお役に立てれば 幸いでございます。 前へ 一覧へ戻る 次へ